最新医療ニュース

血管伸展性検査


血管年齢という言葉を聞いたことがあると思います。この根拠となる検査が血管伸展性検査で、動脈硬化の有無を判定する検査として近年広く普及してきているものです。当院でもこの検査ができるようになりましたので、今回は、この血管伸展性検査について簡単に説明してみたいと思います。

血管伸展性検査とは、両上肢下肢の血圧、脈波を測定することにより、脈波の伝播速度から血管の硬さや血管の詰まり、ひいては血管年齢を類推するもので、5分から10分で簡単に実施できる検査です。

動脈の硬さとして用いられる指標がCAVI(Cardio-ankle vascular Index)といわれるもので、大動脈を含む「心臓(Cardio)から足首(Ankle)まで」の動脈(Vascular)の硬さを反映する指標(Index)で、動脈硬化が進行するほど高い値となります。大動脈の伸展性の低下は心疾患の発症や予後を規定する因子となることが知られており、早期診断と管理に役立ちます。
さらにCAVIは頚動脈エコー等で測定されるスティフネスパラメータβ法に基づき算出され、血圧に依存されない血管固有の硬さを表します。
スティフネスパラメータβは【InPs・Pd】・【D/僖】の式(Ps:収縮期血圧 Pd:拡張期血圧 D:血管口径 僖:口径変位)で表されます。生理的安定状態において、内圧と内径は指数関数の関係にあり、これを、圧の比の自然対数(lnPs/Pd)と動脈壁の伸展性(僖/D)に置き換えると、直線となります。この傾きがβとなります。値が大きいほど伸展性が小さい(血管が硬い)ということになるわけです。このスティフネスパラメータβ法を採用した器械がフクダ電子からVASERAとして販売され世界的に普及しています。当院でもこの器械を採用しています。

動脈の狭窄・閉塞として用いられる指標はABI(Ankle Brachial Pressure Index)と呼ばれるもので、上腕と足首の血圧から算出されます。ABIは非侵襲的な検査で数値として評価できるので、PAD患者の早期発見に有用です。PAD(末梢動脈疾患)は、心血管疾患や脳血管疾患など他臓器障害との合併が多く見られることからも、早期発見が重要です。
VASERAではアメリカの心臓病学会のガイドラインに基づいて、計算式 ABI=(足首の最高血圧)/(上腕の最高血圧)で算出しています。

血管年齢は、動脈硬化の危険因子を持たない人たちの平均値と対比することで評価する事ができます。同年齢の健常者よりCAVIが高い場合は、それだけ動脈硬化が進んでいると考えられます。動脈硬化を促進する糖尿病や高血圧などを合併しないよう、生活習慣病を是正することが望まれます。

(参考HP:http://www.fukuda.co.jp/index.html)

当院の血管伸展性検査器械です。